悪くない歯を削られた、勝手に高額の治療をされたなど、不明瞭な治療費や説明不足など歯科医療をめぐるトラブルが増えている。
患者側には、医者を選ぶ情報が少ないため、事前に患者の相談を受け、信頼の置ける歯医者を紹介する「仲人業」が注目を集めている。
東京都内の六十代の女性は百万円以上の入れ歯費用の約半分を支払って治療中「本当にこれだけの費用が必要なのか」と疑問に思った。素材を聞いても、歯医者は名前さえ教えない。
きちんとした説明を求めると、医者は「納得して治療を始めたはずだ。気に入らなければやめてもいい」と突き放したような返答。納得できないまま女性は治療を受け続けているが、大きな不満が残る。「治療について相談できるところがあれば」とこぼした。
国民生活センターのまとめでは、歯科医療をめぐるトラブルは一九九六度の約六百六十件から二〇〇五年度の約千六百件と、十年間で約二・五倍に。歯医者が増加し、競争が激化する中で増えている
という。
日本歯科医師会には、患者側の事前相談や苦情を受け付ける窓口はなく、都道府県によっては窓口 を設けているところがあるという。同会に寄せられる苦情件数も増えており、同会は「受け皿づくりは今後の検討課題」としている。
患者側の情報不足を補うため、歯医者との橋渡しをしているのが「あいぼりー歯の相談室」(東京都渋谷区)だ。
料金は一回約一時間で五千円。非常勤も含め六人の歯科技工士や衛生士らが電話や直 接の相談に応じる。
東京都内に住む女性(63)は、歯がぐらついて近所の歯医者に行くと「総入れ歯にする必要がある。費用は二百万円」と言われ、相談に訪れた。
紹介された歯医者は、治療計画なども細かく説明。 見積もりは五十万円未満だった。
女性は「お金の話はこちらからしにくい。明確に説明してくれて安心できた」と話す。登録する歯医者は東京都を中心に二十二件。いずれも代表で元歯科技工士の須藤哲生さん(58)が歯型の取り方など百五十の項目をチェック、クリアした歯医者だけを登録している。