52.クイック矯正や舌側矯正装置、非抜歯矯正の問題点
2007年4月12日
皆さんもご存知でしょうが歯並びの矯正は美容目的の場合は保険が効かないので高額な費用がかかります。
歯周病や入れ歯での悩みも深刻ですが、その中でも飛びぬけて気の毒な患者さんの相談は、若年層の歯並び相談です。
こつこつと一生懸命に貯蓄に励み、ようやく歯医者さんを信じて治療をしたことがきっかけとなり、今度は重度の歯科医療不信患者になってしまうのです。悪徳歯科医は患者さんの弱っている心理を逆手にとり、ただひたすら不安に陥らせることで高額治療に誘導するのです。
医療も経済行為なのですから、最新治療や高額治療を非難する気持ちはありませんが、治療をしたために日常生活まで支障をきたすことになるなんて、まさに本末転倒です。
そのような被害にあった患者さんの中にはそのことが原因でかみ合わせもおかしくなり、不眠症になるどころか、職をも失い、精神疾患を誘発したとしか思えないような気の毒な患者さんもいるのです。
歯医者に行ったばかりに歯が悪くなるどころか、精神的にまでおかしくされるなんてこれは医療ではなく立派な犯罪なのではないでしょうか。
最近当相談室を訪れたAさん(32歳、女性)は、前から2番目の両側の歯が引っ込んでいることを気にして、5年間にわたり複数の歯科医院で合計三百万円の費用を要した挙句、健全な歯はぐらぐらとなり、かみ合わせも不調となったことを涙ながらに訴えていました。
Aさんはその時点で「舌側矯正装置」というものが装着されていました。この装置がかみ合わせ不調の元凶だったのです。この装置は歯の裏側につけるので目立たないことが大きな特長なので若い女性の間では人気がある治療法ですが、それだけリスクも多い治療方法でもあるのです。
まともな矯正医では積極的に勧めるようなことは絶対ありません。歯科医の説明不足ということでもありますが、患者さんもお任せ治療ではなく、積極的に利点ばかりでなく欠点をも知るべきなのです。
舌側矯正装置だけで満足な結果が出る患者さんのほうが珍しいのです。
また、非抜歯の矯正も問題点があります。
欧米人のように顎が大きく、移動するだけの余裕がある患者さんでないかぎり、患者さんが望むような結果にはならないことが多いということも知ってほしいのです。
Aさんの装置はまともな歯科医(元国立大教授)の手ですぐ取り外されました結果、痛みが嘘のように解消されたそうです。しかし、歯を支える骨(歯槽骨)は無理な力が加えられた結果、大きなダメージを受け、その結果再生不能な状態となってしまいました。
(※Aさんについてはプライバシーのために一部事実と異なる箇所もあります)
また、クイック矯正と言うものも患者さんにとっては誤解に満ちた治療法で、まともな矯正医ではこのようなことはしません。どちらかというと補綴という分野の歯科医が担当するもので、天然歯をセラミックスの差し歯に置き換えるような治療法です。
この方法は通常の矯正装置のようなバネの力で少しずつ移動させる方法とは違い、見方によっては手っ取り早い方法ではありますが、これにも罠がひそんでいるのです。
審美的には満たされたとしても、土台の治療がお粗末な場合もあるのです。このことでリピーター患者になり、最後には歯並びどころか歯自体を失うような事態になるのです。
インターネットサイトでいかに素晴らしい術前術後の写真があったとしてもそれだけでそこの歯科医院を信じてはいけません。インターネットサイトでは法的規制もなくどのような表現でも許されているのが現状です。どうぞ、そのような歯科医院や治療方法を選択する前にどうか第三者の意見を聞いてください。
歯医者さん選びを間違えただけで肉体的なダメージだけでなく精神的ダメージまで受けることになり、それがどれだけつらいことになるかは体験した患者さん以外には到底想像できないものなのです。