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35. 医療費を明確にすることを望む〜長文です

2005年12月15日

この記事は朝日新聞に投稿して不採用になりましたので、若干変更してここに掲示させていただきました。

日本の皆保険医療制度は、世界に誇れるものです。この制度の趣旨は、国民の貧富に関係なく同じ費用で治療を受けることであります。

しかし、そのことが最近医療者側と患者側との間で色々な誤解や齟齬が生じています。特に、歯科医療は保険と保険外の治療が混在する混合診療が多くその問題が目立ちます。

私は、5年前から歯科疾患で苦しんでいる患者さんをサポートする「歯科医療コーディネーター」という仕事をしています。その間に、1200名以上の患者さんから歯科医療への率直な不信や不満の話を、第三者の立場で聴く貴重な機会を得ました。
そのような患者さんの思いや治療費用についてのうち、特に治療費用への思いをこの機会に伝えさせていただきます。

保険医療制度が発足した当時は、その目的が最低限の医療を国民に等しく提供することだったのですが、現在は日本の経済力も豊かになり、患者さん側の要求も高まり、当初認められなかった高度医療も組み入られるようになりました。

しかし、私にはこのことが医療者側と患者側との誤解の原因を作っているように思えてならないのです。
患者さんは、同じ治療を受けたと思っても治療費用を支払するたびに違っているように感じる場合があります。医療機関側にはそれなりの理由もあるのですが、治療される側の患者さんの立場では聞きにくいのです。

現在の社会保険における医療費の仕組みは非常に複雑で、レセプト(診療報酬明細書)を作成する当事者である医師ですら見解が分かれる場合も珍しくないのです。
そのための専用パソコンですらあります。それ自体は問題ないのですが、審査に通りやすい賢い?パソコンソフトもあるようです。

歯科医療機関がレセプトの審査機関に、実際に診療したとおりに請求しても却下される場合もあるからです。
さて、そのくらい複雑不明瞭な保険医療制度なのですから、患者さん側が理解できることはほとんど不可能なのです。

歯科の患者さん側の誤解例として、自家歯牙移植治療があります。患者さん本人の智歯(親知らず)などを利用して、交通事故や転倒事故などの理由により喪失した歯の部位に移植する治療です。この治療は基本的には保険でできます。

紙面の関係で詳細を伝えることはできませんが、この治療が歯科医師(歯科医療機関)によって認識が違うのです。ある歯科医師は上記のような理由で喪失した場合のみを保険での適応例とし、他の歯科医師はどのような自家歯牙移植でも保険適用だとし、さらに別の歯科医師は人工歯根(インプラント)に相当する場合は保険外として扱うような場合です。

また歯石や歯垢などの汚れを取る場合も似た問題があります。どちらも歯科医師の裁量によります。
しかし、これでは患者さん側には到底理解しにくいので誤解することも無理ないのです。医療は究極のサービス業なのです。医療機関側には、もっと医療費をレストランのメニューのように患者さん側にも明確にして頂けることを望みます。

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