10.名医探しブームへの危惧
2003年10月20日
最近、医療事故のニュースで医師の技量を問われる内容のものが目立ってきました。以前であれば大学病院は信頼度の点で、一般開業医より信頼されていたように思いますが、そのような大学病院での事故が特に多く報道されているような気がします。そのことで一般開業医のほうがより安心かとなると、これも一概には云えないところに安心できる医院選びの難しさがあります。
現実の医療業界の水準が、以前と大きく変わったわけではなく、他の業界と同様に不景気の長期化によって雇用される側が雇用する側に対し、いわゆる忠誠度が低くなってしまった結果の内部告発的行為による医療ミスの発覚なのだと私は思います。
しかし、この種の医療事故のニュースがたびたび報道されることで、患者さん側の自己防衛策として名医探しブームが湧き上がってきたようです。
この現象に危険な側面があることを私は仕事上の体験によって、痛感するようになってきました。このサービス自体は、昨今の名医探しブームで追い風が吹いており、とてもありがたいことではありますが、最近相談される患者さんの中には、いわゆる名医紹介サービスや名医のランキング本を信頼して治療を受けた結果、更に悪化したとの訴えが目立つようになってきました。
そのような本の中には私たちの情報では明らかに技量や対応に問題がある歯科医院でも上位にランクインしていることが珍しくないのです。
特に歯科の場合、その治療結果の良し悪しは少なくとも3〜5年以上経過しないと判断がつきません。もし、治療箇所が悪化した場合でも患者自身のケアが未熟であるとか、患者さん自身の遺伝的・体質的な問題として責任のすり替えがしやすいのです。
そのすべてが医療者側だけの問題だとは言い切れませんし、現在の出来高払い的な健康保険制度の弊害も確かにあります。確かに、このような名医探しブームによって、患者さんが慎重に医院を選ぶようになったことで医療従事者側もサービスの向上に努力するようになったこと自体は喜ばしいことですが、私たち、医療従事者側であっても本当に良心的で技量が優れた医者を見つけることは容易にはできないことなのです。
安易に名医情報を信じることは危険であることを患者さん側は是非知ってほしいと思います。又、出版社やマスコミも本等に掲載するからには名医であることの根拠や裏付けを充分とるようにお願いします。
患者さんやその家族にとってはワラをもすがる思いで、そのような情報を頼りにしているのです。そのような情報の中に水準以下の医療機関が混在している可能性がある以上、そのような医療機関で受診することで、今まで以上に悪化させてしまう可能性が高くなり、取り返しのつかない事態も招きかねません。
関係者は、そのようなことに加担していることを充分自覚してください。
医療は娯楽ではありません。
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